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今年も暑い夏が終わりました

第30回全日本マウンテンバイク選手権が終わりました。
2012年からレーシングチームを率いて6回目の全日本選手権。
毎年違った思い出を作ることができる大事な大会ですが、今年は6回の全日本選手権の中でも一番印象に残ったかなと思います。

3月に北海道からチームの拠点に一人で引っ越してきたトシちゃん。
高校を卒業したばかりで、一人暮らしも当然初めて。
そのトシちゃんが、プロとして初めて臨んだ全日本選手権。

スタート直後の大落車で、左ひざと左ひじがパックリと切れた状態。
最後尾からスタートとなり、フィードゾーンで曲がったハンドルを修正して再スタート。
シングルトラックの長い上りで一気に順位を回復して、そのままU23カテゴリーのトップを独走して優勝。

ゴール後は、すぐに担架で運ばれて、膝は7針も縫う大けが。
ひどい怪我に加え、最後尾からのスタートで正直途中で心が折れちゃうんじゃないかと思うくらいの状況でも前を追う強い心を養う事が出来た半年間。

やってきたことが身を結んで本当によかった。

4月の初戦をまずまずの成績で走れたおりょう。
今年はチームの中で一番の若いビブナンバーで走れる喜びと緊張でワクワクしながら迎えたCJ1開幕戦をボロボロの状態で終えた。
その後は、あのおりょうはどこに行ったんだという状態。

体の疾患を疑って精密検査も受けた。
JISSでも色々見てもらった。

結果は、身体的問題は無し・・・。

本人が一番そう感じていたと思うけど、もうどうしていいのかわからない状態だった。
『レースをやめたくなりました』

そう言われると、監督としてどうしたら彼の気持ちをポジティブにできるのか?
本当に悩んだ。

チームとして出場をキャンセルした秋田田沢湖。
全日本選手権前の大事な週だけど、突然おりょうから『田沢湖に出たい』と言われて、リスクも承知で出場を許可した。
もしダメだったらメンタル的にはボロボロだろうけど、本人に思うところがあって出場したいという思いを了承した。

そして全日本選手権。
朝からとても良い顔をしていた。
去年のおりょうが戻ってきた気がした。
スタート前『思い切ってやってこい』とだけ伝えた。

スタートから一気に飛び出し、思い切りの良いおりょうだった。
レース中の彼の眼はとても良かった。
いつもおりょうに伝えている『怖いおりょうになりなさい』という事。
昨日のレースは『怖いおりょう』だった。

途中『弱いおりょう』が見えそうになったので、『後ろを見なくていい、前だけ見ろ』と伝えると、また怖いおりょうになった。
優勝はできなかったけど、怖いおりょうが戻ったことがうれしかった。

ゴールでおりょうを待ち、ゴールしたおりょうは『ただいま』と言った。
涙が出そうになった。
『おかえり』と迎えた。

もう、弱いおりょうはいない。

弟と妹が良いレースをした。
兄貴のケンは、少し高揚していたと思う。
でもいつもの笑顔だった。

昨年のこの時期からヘルニアを発症し、もう走れないんじゃないかと落ち込んでいた。
『あなたはケガ人であって病人じゃない。ケガは治る。必ず治せ』
そう伝え、彼は走れないジレンマに耐え、ケガを治した。

スタート前に少しだけ機材のトラブルがあってバタついたけど、ケンは大丈夫だった。
ファーストラップを2位集団で通過。
いつもならここから失速するが、今日のケンは違っていた。

土曜日に急きょ投入した新フレームが功を奏していた。
バイクも進む。
雨が降っていたが、前日のコースインスペクションでイメージが良かったドライタイヤに決めた。

特にダウンヒルセクションでのケンの走りはキレキレだった。
もちろん上りも。

でも少しだけアンラッキーもあった。
ファイナルラップで4位の選手も射程距離にあったけど、転倒した際にフロントタイヤのエアが漏れた。

失速してフィードゾーンでフロントタイヤを交換を余儀なくされ、6位でフィニッシュとなった。
でも約1年かかってここまで回復した。

僕はつくづく、ケンは天才だと思っている。
スポンサーやサプライヤーの皆様には不謹慎で失礼だと承知の上で、誤解を恐れずに敢えて言えば、ケンはレースに飽きていた。
ゴール後に『飽きた』と笑った。

ケンは、速く走ることが大好き。
でも展開が無いレースにはあまり興味がない。

最後もう少しだけ神様が許してくれたなら、ケンは飽きることなく前を追っていた。
でもきっと『楽しみはもう少し取っておこう』とされたなら、今回のエア漏れは必要な過程。

次のレースでは、きっと強いオノデラケンが見れる。

本当に思い出深い全日本選手権になった。
この子達と監督として一緒に戦えたことを誇りに思います。

さて、ちょっと夏休み。
またがんばろう。

今年も暑い夏が終わりました

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